子どもの「やせ」が増えています。

前回まで、小児肥満について取り上げてきましたが、実は日本では、逆にやせ気味の子ども増えていることが問題になっています。

特に、思春期女子や若い女性のやせの増加の問題は深刻化していて、健康への影響が心配されています。

 

2001年より施行されている「健やか親子21」(厚生労働省)では、21世紀の母子保健の課題の一つとして、15歳女子の「不健康やせ(何らかの健康影響ももたらす可能性のあるやせ)」の発生頻度を減少させることを目標としています。

 

しかし、不健康やせの割合を、平成14年度と平成25年度で比較すると、中3女子で約3.5倍、高3女子2は約1.5倍増加しています。

しかも平成14年度では、中3女子に比べ高3女子が2倍以上多かったのですが、平成25年度には差がほとんどなくなっています。

この事から、不健康に痩せている子がより低年齢化していると予想されます。

 

これは、例えば貧困などで「栄養が摂りたくても摂れない」という状況があるというよりは、やせていることが美しいとされる社会的風潮による「やせ願望」の方が主な原因だと考えられています。

※このやせ願望にともなう思春期女子のやせについては、また次回以降、別に詳しく取り上げたいと思います。

 

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思春期より前の、さらに小さい子どもたちでも、やはりやせ型が増えています。

平成27年度における痩身傾向児(肥満度が‐20%以下の子ども)の出現率は、9歳以上の各年齢で2〜3%前後で、肥満傾向児に比べて低いものの、平成18年度以降増加傾向にあります。

 

子どもが痩せているのかどうかの判定は、肥満の判定と同じ「肥満度」を用います。

ちなみに、大人ではBMI(=体重kg/(身長m))が、18.5未満が「やせ」です。

 

肥満度は以下の式で表されます。

肥満度=(実測体重-標準体重) / 標準体重 × 100 (%)

 

肥満度が‐20%以下(幼児では‐15%以下)でやせと判定します。

 

家庭では肥満度が簡単に知ることの出来る「肥満度判定曲線(身長体重曲線)」を用いるのが便利です。

この曲線は、日本小児内分泌学会のホームページから無料でダウンロード出来るので、そのリンクを貼っておきます。

 

幼児用 肥満度判定曲線(男)

http://www.mominokiclub.com/tool/pdf/himan/himan_boy_1k.pdf

 

幼児用 肥満度判定曲線(女)

http://www.mominokiclub.com/tool/pdf/himan/himan_girl_1k.pdf

 

学童用 肥満度判定曲線(男)

http://www.mominokiclub.com/tool/pdf/himan/himan_boy_2k.pdf

 

学童用 肥満度判定曲線(女)

http://www.mominokiclub.com/tool/pdf/himan/himan_girl_2k.pdf

 

※幼児用のものは、母子手帳にも載っているので利用してください。

 

このグラフから、身長・体重が交わる点で、現在の肥満度を知ることができます。

 ただし、肥満と同様、その時の一点で見るのではなく、変化を見て判定することが大切です。

 

乳児期(1歳まで)のやせでは、病気や栄養不足(ミルクが足りていない)のことが多く、医師の診察が必要ですが、幼児期以降ではやせと判定されても、体質的なものもあります。

 

もともと痩せていて、顔色が良く、食欲もあって、その子なりに発育していれば、過剰に心配しなくて良いでしょう。

 しかし、もし肥満度が‐10%であっても、±0%だった子が急に‐10%になったり、どんどんやせが進行したり、元気がなくなったりしてきた場合は、背後に病気が隠れている可能性もありますから、医療機関に一度相談したほうが良いでしょう。

 

ところで、戦後のような食料不足でもないのに、やせの子どもが増えているのはなぜなのか?

その理由として、冒頭で述べたやせ願望のほかに、食生活・生活習慣の乱れが指摘されています。

 

具体的には、朝ごはんを食べない・極端な偏食・小食などです。

この結果として、エネルギーや栄養が不足するので、当然、体重が増えません。

また、現代のやせの子どもは、運動不足で筋肉量が少ない場合が多いことも指摘されています。

運動不足や、夜型の生活という生活リズムの乱れが、食欲がわかない・朝食が食べられない・小食などにつながります。

 

小食で体重が増えていないのならば、

・早寝・早起きをして、生活のリズムを整える。

・食事前のおやつ・ジュースはさけ、食事中の飲み物は水やお茶などにし、空腹の状態で食事を摂る。

・少量ずつ盛り付ける。

・外遊びを増やすなど、生活全体を活発にする。

など、生活習慣を変える工夫をしてみてください。

生活習慣が改善すると、食事量が自然にアップする可能性もあります。

 

もちろん、もともと小食な子もいますが、実は背景の生活習慣に原因がないのか、一度見直してみてください。

 

次回からは、思春期女子に多くみられる、痩せ志向・ダイエット願望が原因とされるやせの増加について取り上げようと思います。

女の子にとって、痩せて綺麗になりたいという気持ち、お母さんなら理解できますよね。

でも、行き過ぎたダイエットは子どもさんの将来を辛いものにしてしまう可能性もあるのです。

 

 

※参考資料

・小児の肥満とやせ 最近の動向について 昭和学士会誌第73巻5号(418-422頁 2013)

・小児期の肥満とやせ 生活習慣との関連について 昭和学士会誌第73巻5号(423-428頁 2013)

・小児の栄養・食の問題と対応 総合健診 2013年40巻5号

・厚生労働省HP 健やか親子21 http://rhino3.med.yamanashi.ac.jp/sukoyaka2/

・文部科学省 学校保健統計調査 平成27年度結果の概要

 

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