思春期女子・若い女性の「やせ」がもたらす健康問題

日本では、海外に比べて若い女性が著しいやせ傾向にあることが指摘されています。

厚生労働省の国民健康・栄養調査によると、20歳代女性の約5人に1人がBMI18.5未満の「やせ」です。

女性全体でのやせの頻度は、約10人に1人なので、他の年代に比べて若い世代にやせが多いことは確かです。

 

この理由のひとつは、痩せているのが美しいとされる価値観により、ダイエット願望が強いことが挙げられます。

そして、このダイエット願望が低年齢化し、思春期女子にもやせが増加していることが問題となっています。

 

前回のコラムにも書きましたが、「健やか親子21」(厚生労働省)では、15歳女子の「不健康やせ(何らかの健康影響ももたらす可能性のあるやせ)」の発生頻度を減少させることを目標としています。

しかし、不健康やせの割合を、平成14年度と平成25年度で比較すると、中3女子で約3.5倍、高3女子は約1.5倍増加しています。

 

 

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やせ型であることは、肥満に比べれば健康的だと、本人も周りも思ってしまいがちです。

でも、無理な食事制限によるやせは、現在の健康だけでなく、将来の健康にも大きな影響を与え、また妊娠した場合にはその子どもにまで影響が及ぶ危険もある。

 

若い女性のやせ傾向を改善するには、まずは、やせがどのような健康上の影響をもたらすかをきちんと理解しなければなりません。

 

やせの1番の原因は、摂取エネルギー量が少ないこと。

つまり、食べている量が少ないので、必然的に他の栄養素も不足することになります。

すると、卵巣機能の障害により月経が止まる無月経、鉄分が不足することによる貧血などが起こります。

 

無月経が重症になると、卵巣機能が回復できるのは約50-70%と報告されており、将来的に不妊症になるリスクが高くなります

 

また、卵巣機能の障害で、エストロゲン(女性ホルモン)が少ない状態が続くと、動脈硬化骨粗鬆症のリスクも高まります。

 

骨密度は思春期に増加してピークを迎え、20歳以降に減少が始まり、閉経後に急速に低下し、その後骨密度を回復させることはまず難しいです。

だから、骨粗しょう症を予防するには、小児期~思春期にカルシウムを十分摂取し、骨密度のピークを高めておくことが大切です。

その思春期に栄養不足の状態では、骨密度の十分な貯金ができません。また、女性ホルモンは骨密度の維持する働きを持っているので、女性ホルモンが不足すると骨密度が減少することにつながります。

 

さらには、極端なやせ思考から、思春期やせ症を発症する場合もあります。

思春期やせ症とは、思春期に発症する神経性食思不振症(いわゆる拒食症)のことです。

発症すると、完治することが非常に難しく、死にも至る病気です。

この場合はもちろん、医療機関への受診が必要になります。

 

さらに、本人だけでなく、栄養不足によるやせの女性が妊娠・出産した場合、次世代の子どもたちの生活習慣病リスクが高まることが指摘されています。

このことは、きっと多くの人が知らないのではないでしょうか。

 

やせていることは、肥満よりは健康に良いと思われがちかもしれませんが、栄養不足によるやせは、本人の健康だけでなく、その子どもの健康にも大きな影響を与えてしまうのです。

 

社会全体で、やせていることがもてはやされる風潮があるなか、見た目が気になる年代の子どもたちが、ダイエット願望をもってしまうことは自然のことなのかもしれません。

 

しかし、極端なやせ思考・ダイエット願望から無理な食事制限をすることは非常に危険であり、将来にわたり大きな不利益となります。

このことを、まずは大人が理解し、子どもたちにしっかり教えることが、不健康なやせを予防する第一歩だと思います。

 

次回は、やせている女性が妊娠・出産した場合の、次世代におよぼす影響について、詳しく述べたいと思います。

 

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※参考資料

・国民健康・栄養調査 http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kenkou_eiyou_chousa.html

・我が国の子どもにおける「やせ」の現状:系統的レビュー栄養学雑誌 Vol 62 No.6 327〜360 (2004)

・行き過ぎたダイエットによる「不健康やせ」の実態とその対応 母子保健情報 第56号(2007年11月)

・小児の栄養・食の問題と対応 日本総合健診学会 第41回大会・シンポジウム2

・妊産婦のやせと胎児発育 DOHaDの視点から考える 産婦人科の実際 Vol.64 No.1

 

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