高血圧は、日本では もっとも患者数の多い生活習慣病です。
高血圧は、自覚症状はほとんど 現われません。
でも、症状がないからといって放っておくと、静かに動脈硬化が進行していきます。
そして、突然脳卒中や心筋梗塞になるこ とがありますし、だんだんと、腎臓の機能が低下してしまいます。
脳卒中、心筋梗塞や腎臓病などの重大な病気になれば、仕事や日常生活に大きな影響が出てしまい、命を落とすこともあります。
なので、高血圧は、症状がないからといって放っておいて良いものではないのです。
症状はないけど、恐ろしい病気を突然引き起こすので、サイレントキラーと呼ばれています。
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実は、高血圧には2種類あります。
ひとつは、二次性高血圧といって、ホルモンの異常、腎臓の病気、薬剤の副作用など、他の原因があって起こる高血圧です。
もうひとつがで、「本態性高血圧」で、こちらは、遺伝的ななりやすさと、生活習慣が原因になっているもの。
一般的に、高血圧と言われている人のほとんどが、この「本態性」になります。
本態性でも二次性でも、高血圧になったら食事療法は行われますが、高血圧になった「原因」として「不規則な食生活」がより関わっているのが、本態性高血圧の方です。
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高血圧は、中年~高齢者の病気と思いがちですが、実は子どもにもいます。
日本人では、小学校高学年~中学生の1000人~100人に1人、高校生の100人に3人に高血圧が見られます。
この年齢の子どもでの高血圧は、ほとんどが本態性です。
※一方、新生児・乳幼児期の高血圧では、腎臓の病気などが原因の二次性高血圧がほとんどです。
子どもの本態性高血圧の病態は基本的に大人と同じです。
遺伝的な素因=高血圧になりやすい体質と、食事や運動などの生活習慣の乱れが原因となります。
そして、親が高血圧なら、子どもも高血圧になりやすいと言われています。
その理由は、遺伝 の要素と、家族なので生活習慣(食塩摂取量が多い、肥満、運動不足 など)が似ていることにあると考えられています。
なので、血縁者に高血圧の人が多い場合は、小さいときから減塩と肥満予防に努めて、高血圧の発症を防ぐ必要性が高まります。
子どもの高血圧の要因として重要なものは以下の3つになります。
当然ですが、大人とも共通している項目ですが、子どもで特に重要なものとなります。
①肥満
高血圧の重要なリスクと考えられているのが肥満です。
子どものころに肥満だと、高血圧発症のリスクは3~4倍になると言われています。
小学校高学年~中学生の肥満者の3~5%が高血圧と言われていて、標準体型の子の場合は0.5%なので、明らかに多いです。
また、肥満が高度な子では、10~20%も、高血圧だということです。
②食塩の過剰摂取
塩分(ナトリウム)の取りすぎは高血圧の原因になることはみなさんもご存知だと思います。
子どもにおいても、大人と同様に、塩分(ナトリウム)の摂取量と血圧の間に関係があること、また減塩により血圧が低下することが明らかになっています。
我が国の塩分摂取量は、大人も子どもも、厚生労働省の摂取基準より多いことが言われています。
③低出生体重児
低出生体重児では、成人になってから、高血圧のほか、肥満・糖尿病・脂質異常症・心臓血管障害(心筋梗塞や狭心症)、腎疾患などのリスクが高くなることが知られています。
日本では、若い女性の極端なやせ願望などのため、赤ちゃんの出生体重が低回傾向で、10人に1人が低出生体重児です。
なので、今の子どもたちが成人になった時、生活習慣病の人が増えることが予想され、心配されています。
このように、成人の高血圧の原因は、子どものころ、さらにはお母さんのお腹にいる胎生期にまでさかなぼると考えられています。
だから、生活習慣病予防には、妊娠前や妊娠中の女性だけでなく、子どもたちが正しい食習慣を身に付けることが大切です。
次回は、大人になってからの高血圧にならないために、毎日の生活のなかで子どもたちにどんなことを気をつければよいか、についてお話しようと思います。
参考文献:成人病と生活習慣病 2014 Vol.44 No1 子どもから防ぐ成人病・生活習慣病
れいここうの
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