「妊娠中は痩せているほうが良い!」と思っている方が多いかもしれません。
確かに、肥満の妊婦さんでは、妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症と言われていた)や妊娠糖尿病などの合併症や、難産のリスクが高まるので、太り過ぎは禁物です。
妊娠中、太り過ぎないように注意された人も多いかもしれません。
しかし、痩せていればいいというものではないのです。
日本では、若い女性のやせ願望が問題になっているとお話してきました。
そういった女性が妊娠しても「太りたくない」からと、極端なダイエットなどを行うと、赤ちゃんは栄養不足になり、低出生体重児となる可能性が高くなります。
※低出生体重児とは、生まれた時の体重が2500g未満の赤ちゃんです。
そして、栄養不足で低出生体重児として産まれてきた赤ちゃんは、将来、肥満や、高血圧・糖尿病・高脂血症などの生活習慣病にかかりやすくなることが分かってきました。
お母さんのお腹の中で栄養不足にさられた赤ちゃんは、少ないエネルギーでも生き抜くことが出来るように自分の体を変化させて産まれてきます。なので、産まれてきてから十分な栄養を摂れるような環境になると、肥満や生活習慣病を発症しやすくなると考えられています。
「妊娠しようと思ってから、または妊娠が分かってから、食生活に気をつければいいわ」と思うかもれません。
でも、実は、妊娠中だけでなく、受精時にも低栄養であると、同様に赤ちゃんの将来的な生活習慣病リスクが高まることが分かっています。
今、日本では、1人目の子の婚前妊娠(いわゆるおめでた婚ですね。)が25〜40%と言われています。
つまり、「妊娠してからちゃんとした食生活にしよう」と思っていては、遅い可能性もあるんですね。
だから、極端に痩せることやダイエットによる栄養不足が、自分の健康だけでなく、自分の子どもにまで影響することを理解し、正しい食生活を送ることの大切さを、妊娠する前から理解している必要があります。
それは、自分が妊娠・出産をしない男の子に関しても同じだと思います。
若い女性の場合、どうしても自分の彼氏や同世代の男の子、旦那さんの価値観に影響されがちです。
なので、男の子は、女の子が極端に痩せていることよりも、正しい食生活を送って健康であることのほうが良いという価値観を持ち、自分の彼女や奥さんが極端なダイエットしていたら、正しい道に導いてあげられる人になってほしいなと思います。
参考文献
妊産婦のやせと胎児発育DOHaD の視点から考える
産婦人科の実際 Vol64 No1. January 2015
体内低栄養環境と成人病素因の形成
日産婦誌60巻9号
妊娠前および妊娠時の母親の低栄養と出生体重低下
小児科臨床 Vol64 No11 2011
れいここうの
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