前回までのコラムで、ダイエットや食に無関心であることからくる子どものやせは、一時的な問題ではなく、本人の将来や、その次の世代にまで影響を及ぼすものであることが分かっていただけたと思います。
しかし、最近では、思春期の女子だけでなく、小学生でも、モデルさんへの憧れなどからダイエットをしたがる子もいます。
子どもが「やせたい」と言いだしたら、親はどのように対応したら良いでしょうか?
まず、なぜやせたいと思ったのか、「モデルさんになりたい」「友達に、太っていると言われた」「好きな子にかわいいと思われたい」など、子どもにも理由があるはずです。
子どもの痩せたいという想いをいきなり否定せず、なぜ痩せたいのか理由と聞いてあげましょう。
次に、子どもが本当に太っているのか、正しい情報を教えてあげましょう。
思春期女子では、普通体型であるのに太っていると思っている子が約7割、やせているのに、自分が太っていると思っている子が2割近くもいました。(平成17年度 厚生労働省 国民健康栄養調査)
また、親もダイエットブームの世代であると、子どもが標準体型であるにもかかわらず、太っていると評価してしまう場合があるので、成長曲線などで客観的に評価しましょう。
子どもの「やせたい」という気持ちは尊重しつつも、グラフなどの目に見える形で、太っていないことを諭してあげてください。
もし、子どもが本当に肥満傾向であった場合は、食事制限はせずに、正しい食生活を送り、運動などをすることで、健康できれいな体になれることを、教えてあげます。
そして、「お母さんは今のままの体型でもあなたのことが大好き」ということを伝えてあげてください。
具体的なアドバイスは
・朝・昼・夜の3食はしっかり食べる。
・よく噛んでゆっくり食べる。
・ファーストフードやお菓子の食べ過ぎは控える。
・ジュースは控えめにし、お水やお茶などを飲む。
・睡眠をしっかり取り、規則正しい生活を送る。
・ゲームの時間は減らして、外で遊んだりスポーツを楽しむ。
・家のお手伝いをなどをして、身体を動かす時間を増やす。
これらの習慣は、太っている・痩せているにかかわらず、健康な体を作るために共通の習慣です。
また、平成14年に東京都で行われた調査では、母親のダイエット行動・食に関する意識の低さ・娘との食に関する会話の少なさが、娘のダイエット行動に影響を与えていていたと報告されています。
お母さんが何気なく行っているダイエットが子どもに影響も与える場合もあるので、改めて、親子で食と身体の健康について、考え話し合ってみる必要もあるかと思います。
糖尿病など、健康上必要なダイエットであるなら、その事をきちんと説明してあげてください。
ダイエットを助長する社会的風潮や思春期女子のやせの問題は、一朝一夕に解決するような問題ではありません。
思春期前の子どもたちが、食が自分の身体に重要であることを理解し、健康的な食習慣を身に付けられるよう、食育を行って行く必要があります。
きちんと食べることが、自分の将来にとって大きな利益になることを、子どもたちが理解してくれるよう、大人が根気よく伝えていくことが大切だと思います。
最後に、もし思春期やせ症(拒食症)が疑われる場合、家族間で解決出来る問題ではなく、医療機関の受診が必要です。
本人は病気である意識がないのが特徴ですが、命に関わる場合もあります。
がんこな拒食や減食があり、体重減少が続く、スタイル・カロリー・体重にこだわる、太るのを怖がる、自分で吐く、運動をしすぎる、下剤を使うなどの症状が見られたら、速やかに医療機関を受診してください。
れいここうの
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