子どもの好き嫌いが多いのは育て方のせい?

 子どもに好き嫌いが多いと、「私の料理が美味しくないから?」「もっと食べてもらう努力をしなかったから?」「育て方が悪かった?」など、自分のせいかな?と悩んでいるお母さんもいると思います。

 

好き嫌いとは少し話がそれるのですが、うちの子は歯の矯正をしています。

「現代っ子は、柔らかいものばかり食べているので、顎が発達せず歯並びが悪い」と、昔どこかで聞いたことがあったため、子どもが小さいころから「よく噛んでね」としょっちゅう言っていました。

 

でも、噛むのがあまり得意な子ではなく、いつまでも口の中にためこんでいたり、一口が大きいと食べなかったり、となかなかうまくいきませんでした。

 

そして私も「ちゃんと噛んでほしいのに」と思いつつ、娘にゆっくり指導している時間はなかったので、結局、まあいっかと諦めて、柔らかいものにしたり、野菜やお肉はなるべく小さくカットしたりしてしまってました。

 

もともと、私も歯並びが悪く矯正したので、娘もそうなのは仕方ないなと思っていたのですが、私がもう少し根気よく指導していたら、もうちょっとマシだったのかあと思っていました。

 

それが、初めて矯正歯科のカウンセリングに行った時、先生に「柔らかいものばっかりあげちゃって、噛む練習をしてなかったからですかね?」と言ったら・・・

 

「全然関係ないよ!こういう顎と歯並びの子は、生まれつき噛まないからい、くら噛ませようとしても無理無理。関係ない関係ない!」と言われてびっくり。

 

そうか、私のせいじゃなかったのか!とびっくりして、ちょっと安心した覚えがあります。

 

これと同じように、子どもの好き嫌いは、「子どもの特性(性格)」によるところも多いようです。

 

米ミシガン大学で、子どもが4歳の時から9歳になるまでの食生活を追跡調査をした研究があります。(※1)

 

子どもが、初めて出会った食品に対してどのような反応をするかについて、時々嫌がるけど基本的には食べようとする子が57%、親が用意した食べ物なら何でも食べる子が29%でした。

しかし、残りの14%は、食べ物の好き嫌いが激しくて、4歳から9歳まで、食べたことのない食品は常に拒絶したそうです。

 

好き嫌いは成長過程における一過性のものであったり、経験によって克服して出来るものではあります。しかし、中にはもって生まれた性質(性格)により、初めから好き嫌いが多かったり、克服が難しくなる子がいることが、この研究から考えれました。

 

また、他の文献(※2)によると、積極的な性格の子は新しい食体験にも挑戦しやすく、自分からも求めていくことが多いので、結果的に嗜好の幅が広がりやすいけれど、逆に消極的な性格の子は、新しい食体験を避けようとするので、経験が積めずに幅があまり広がらないということです。

 

親の育て方の問題、というわけではないということですね。

 

では、こういう性格の子の場合、親が出来ることは何もないのでしょうか?

そういうわけではありません。

 

この研究によると、親が砂糖や脂肪の多い食べ物を極端に制限しようとしたり、子どもの食事をコントロールしようとすればするほど、子どもの好き嫌いが激しくなる傾向がみられたそうです。

 

だから、こういった行動は避けた方がよさそうです。

 

米デューク摂食障害センターのNancy Zucker氏は、好き嫌いが多い子どもたちは、感情のコントロールが苦手な傾向もみられ、こういった子どもちたちに親が指図したりすると、子どもたちは心を閉ざしてしまうだけだと述べています。

 

また、子どもと一緒に買い物に行き、食事の準備をするなど、食事が楽しい経験となるようにすることで、子どもの食べ物に対する気持ちが前向きになる可能性があると薦めています。

 

親があまり一生懸命になりすぎず、おおらかな気持ちで子どもの好き嫌いに向き合っていくことが大切だということですね。

 

子どものためを思うからこそ必死になってしまいがちですが、「まあ仕方ないか」といい意味で気楽に構えてみるのも、時には必要かもしれません。

 

※1 Trajectories of Picky Eating in Low-Income US Children.

Pediatrics. 2020 06;145(6); pii: e20192018.

Carmen Fernandez, Harlan McCaffery, Alison L Miller, Niko Kaciroti, Julie C Lumeng, Megan H Pesch

 

※2 新版 小児の発達栄養行動ー摂食から排泄まで/生理・心理・臨床ー

 

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れいここうの

れいここうの

医師・料理家として、食の観点から、予防医学を家庭に広げたいと思い、活動しています。 正しい食の知識を身に付けるのには、子供たちへの教育が大切だと感じ、2015年キッズ食育トレーナーの資格を取得しました。 ブログでは、簡単・時短でも、栄養バランス満点で美味しい、 一汁三菜を作らなくても健康的な食生活を実現出来る 「一品で栄養バランスの取れるレシピ」を提案。 食による健康、子どもへの食育に関するレシピ開発、コラム執筆、出版などのお仕事を承っています。 ↓レシピ本、好評発売中。 【Amazon.co.jp限定】忙しい人のための“一品で”栄養バランスが取れるレシピ―女性医師…/SBクリエイティブ https://www.amazon.co.jp/dp/4797381280

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