20代までは、多少太っていても、それが原因で健康診断でひっかかったり、病気になったりすることは、中年以降に比べてとてもまれです。
では、子どもの時には太りすぎに気を付ける必要は、あまりないのでしょうか。
40歳を過ぎて、コレステロールや血糖値、血圧などが高いと指摘されてから食生活に気を付け、体重を減らせばよいのでしょうか?
残念ながらそうではないようです。
アメリカでの研究ですが、若い頃に肥満の人は、大人になった後に減量したとしても健康リスクの高い状態が続くことを示す結果が報告されています。
この研究では、10代の青年1万2,300人を24年間追跡し、BMI値(※)と健康リスクとの関連を検討しました。
※BMI=Body Mass Index 体重と身長から算出される肥満度を表す体格指数。
すると、10代の時点でBMIが高い群は、成人後に2型糖尿病、心筋梗塞や狭心症を発症するリスクが高いことが分かりました。
(※健康リスクに影響を与える可能性がある喫煙・飲酒習慣や人種など他の因子を調整しています。)
さらに、10代でBMIが高かった群は、成人後の健康状態が全般的に悪化する傾向が、成人後のBMIにかかわらず認められたそうです。
つまり、若い頃に肥満だと、成人後に減量したとしても、その健康への影響が続くことが示唆されたということです。
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小児期~青年期の体重が、将来の健康に及ぼす影響がどれくらい大きいのかは、まだ完全には明らかになっていません。
しかし、例えば動脈硬化はすでに10代から始まることからも、子どもの頃から健康的な生活習慣を身に付けておくことが大切だと言えるでしょう。
子どもの頃から、動脈硬化や高血圧・糖尿病などの生活習慣病を意識する機会は、ほぼないですよね。
さらに、肥満や生活習慣病と食生活の関連について、子どもたちが学校などで深く学ぶ機会はあまりないと思います。
今のところ、子どもたちに健康的な食生活の大切さを知るためには、親が果たす役割が大きいと言えます。
といっても、細かい栄養や病気の事を子どもたちに教える必要はないと思います。
一緒に買い物に行って野菜を選ぶ、お料理の手伝いをしてもらう、一緒に外で遊んだり散歩に行くなどすれば、自然に健康的な生活習慣を身に付けることができます。
また、肥満の子どもたちに対しては、「病気になってないから、まあいいかな」とあいまいにしてしまうのではなく、しっかり正しい食生活に対して、学校などで教育していくことが必要だと思います。
メタボ対策などで中年以降の食生活に対しての関心はだいぶ高まってきたと思います。
子ども達の食習慣に関しても、今後、もっと関心を持つ人が増えてくれたらと願っています。
参考文献:Adolescent Body Mass Index and Health Outcomes at 24-Year Follow-Up: A Prospective Cohort Study.
Journal of the American College of Cardiology. 2021 Jun 29;77(25);3229-3231. pii: S0735-1097(21)04956-1.
Jason M Nagata, Kyle T Ganson, Jingyi Liu, Holly C Gooding, Andrea K Garber, Kirsten Bibbins-Domingo
れいここうの
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