引き続き、高血圧のお話です。
前回のコラムでもお話ししましたが、子どもの頃から高血圧になってしまっている場合もあります。
でも、やはり大人に比べると圧倒的に少ないです。
子どものころは、多少乱れた食生活をしていても、肥満傾向にあったとしても、高血圧をはじめ、実際に健康上の問題となって現れてくる場合は少ないです。(なので、子どもの頃から現れている場合は、より深刻にとらえなければいけないのですが・・)
でも、健康に問題がないからといって、その乱れた食生活を続け、それが習慣化してしまうと、30代・40代ごろから徐々に、高血圧をはじめ、さまざまな生活習慣病という形になって現れてきます。
大人になってしまってから、それまでの習慣を変えるのは非常に難しいです。
改善することが「苦痛」や「ストレス」に感じ、なかなかうまくいかない事がほとんどです。
苦痛すぎて、改善しよう!とやる気になることすら難しい場合も多いです。
でも、逆にいえば、子どもの頃に、正しい食習慣を身につけてしまえば大人になってから、すごく楽ということ。
健康的な食生活が、本人にとってはごく自然なこととして実践できるわけです。
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では、大人になってから高血圧にならないために、子どもの頃にどんなことを気をつければ良いのでしょうか?
それは、①正しい食習慣 ②運動習慣を身に付けることです。
この2つについて、詳しく解説しますね。
①正しい食習慣を身に付ける。
食塩の過剰摂取は、特に血圧上昇に深く関わることが明らかになっています。
しかし、平均的な日本人は塩分が過剰摂取の状態だと言われていて、それは子どもも同様です。
厚生労働省の「日本人食事摂取基準(2015)」で、幼児の食塩の摂取基準は、
1-2歳で3g/日未満
3-5歳で4g/日未満とされています。
といっても、子どもたちは実際はどれくらい摂っているのか、ピンとこないと思います。
日本人の3歳の塩分摂取量の分布を調べた研究によると、
3g/日未満の子ども・・・・45%
3ー6g/日の子ども・・・・31%
6-10g/日の子ども・・・・20%
10g超/日の子ども・・・・・4% だったそうです!
基準以内の子は、半分に満たないくらい。
平均すると、摂取基準の2-3倍量を摂取していることが明らかになっています。
アメリカでも同様の結果が報告されていて、そのアメリカの調査では、子どもたちが摂っている塩分の2/3は加工食品やファーストフード由来だったということです。
加工食品やファーストフードというと、食品添加物の危険性を気にするお母さんが多いかもしれませんが、食塩の過剰摂取の原因にもなっているのです。
このように、幼児期に食塩をたくさん摂っていること自体も問題なのですが、私は味覚への影響がもっと深刻だと思っています。
幼児期は味覚形成の大切な時期です。
この時期に、味の濃いものばかり食べていると、味覚が鈍感になります。
すると、味が感じにくくなる。
つまり、濃い味でしか満足できなくなり、これから先ずっと、食塩過剰摂取の状態が続いてしまう可能性が高いです。
健康に悪いことはもちろんですが、素材そのものや出汁などの美味しさが感じられない、薄味のお料理が美味しくないと感じる、このような状態では「食の楽しさ」が半減してしまいます。
そういった意味でも、子どもたちにとって、大きな損失だと思います。
幼児期には、「塩分を何グラムとっているのか」と細かく気にするというよりは、「薄味を美味しいと感じる味覚を作ってあげる」ことを考えると良いと思います。
そのためには、大人がちょっと薄いなと感じる薄味で調理し、素材の味を生かしたお料理にしましょう。
ここで、ちょっと注意なのですが、塩分を取りすぎてはいけないというと、たまに、気にしすぎて全く塩味をつけない離乳食や幼児食にするお母さんがいます。
味付けなしでも子どもが食べてくれるなら良いのですが、「離乳食を全く食べない」という状況になってしまうケースもあります。
あまりに離乳食が進まないと、貧血になる場合もあるので、過剰に気にしすぎないようにしましょう。
子どものうちに、薄味が美味しいと思える味覚を作っておくと、大人になってからも、外食や市販のお惣菜は味が濃すぎて美味しくない、と感じるようになり、自然に塩分摂取量が抑えられます。
素材や料理の微妙な味付けを楽しむことができ、食の楽しさも倍増するので、一石二鳥です。
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②運動習慣を身に付ける。
子どもも大人も、肥満は高血圧の大きな要因になります。
肥満の予防・解消には、運動が不可欠です。
昔の子どもは、外遊びの中で運動量を確保できていましたが、現代は塾や習い事、ゲームの普及などで、極端な運動不足に陥りやすい状況になっていると言われています。
運動不足の子は、肥満や体力不足から、ますます運動が嫌いになるという悪循環にもなりがちです。
もともと動くのが好きな子どもは、スポーツの習いごとをしたり、外遊びを積極的にするなど、親がちょっと意識してあげれば、運動不足の解消は比較的簡単だと思います。
運動が苦手な子であれば、家族や兄弟も一緒に取り組み、まずは楽しみ、運動量が少なくても長く継続でき、運動を続けるという習慣を身に付けることが大切です。
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子どもの頃に身につけた良い味覚と良い生活習慣は、大人になってから財産になります。
幼児期~小学校くらいまでに、ちょっと頑張っておけば、あとは親があれこれしなくても、子どもさんが自然に良い食習慣を選択していってくれるようになりますよ^^
れいここうの
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