子どもの食生活について考えるとき、「好き嫌い克服」や「栄養バランスはとれているか」のことが気になる人が多いと思います。
もちろん、それも大切なのですが、それと同じくらいかそれ以上に重要なことに「正しい味覚の形成」があります。
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味覚というのは生まれつき決まっているものではなく、作られるものです。
それはいつなのかというと、3歳くらいまでに味覚の基礎がつくられ、6~9歳ころまでに完成すると言われています。
子どものうちに決まってしまうのですね。
味覚が正しく作られることにより、子どもたちはいろいろなものを美味しいと感じることができます。
それが、好き嫌いの克服につながりますし、好き嫌いがなくなれば自然に栄養バランスの良い食事が取れるようになります。
栄養の面だけでなく、様々なお料理を「おいしい!」と楽しめれば、人生が豊かになりますよね。
そして、正しい味覚は、子どもたちの将来の健康を守るためにも重要です。
第21回日本病態栄養学会で報告された山陰労災病院の水田氏の研究によると、心臓病の人は、甘みや塩味に関する感度が低下しており、味覚障害が多かったそうです。
また、高血圧の人はそうでない人に比べ、塩味の感度が低下したということです。
つまり、甘みや塩味が感じにくいので、しょっぱいものや甘みの強いものを好むようになります。
塩分・糖分の摂り過ぎが病気に原因になったと考えられます。
また、「旨み」の感度が低下している集団では、そうでない集団に比べ肥満の人が多いことも報告されています。
「旨み」というと、日本人なら真っ先に思い浮かぶのが、出汁ですね。
旨み成分は、昆布やかつおぶし、煮干などの他、お肉や魚、しいたけやトマトなどにも含まれています。
出汁のきいたお味噌汁や煮物などは、薄味でもとてもおいしいと感じられます。
みなさんも、それは経験としてご存知だと思います。
うまみの感度が低下している、つまりうまみが感じにくいと、味付けが濃くないと満足できないようになります。
その結果、食事の満足感が得られにくく、甘いものをたくさん食べたり、味の濃くカロリーの高い食事を好むようになる可能性があります。
それが肥満につながったと考えられます。
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味覚は子どものうちに完成してしまい、また、誰でも加齢とともに味覚は低下するので、大人になってから味付けの好みを変えるのはとても難しいです。
味覚が低下している人には、薄味の食事は味気ないと感じられてしまうので、健康的な食事にするためには、相当意識をし、「努力」が必要になります。
子どものころに正しい味覚形成をしておけば、薄味のお料理が「おいしい」と感じれるので、意識しなくても自然に健康的な食事を好むようになるはずです。
正しい味覚を形成するためには、なるべく薄味を心がけ、いろいろな食材の味を、できるだけ早いうちから経験していくことが大切。
味覚は1日で作られるものではありませんので、子どもたに食材そのものの味の経験値を増やしてあげられるにしたいですね。

れいここうの

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