出汁をしっかりとった煮物やお味噌汁、とっても美味しいですよね。
この出汁のおいしさは、「うま味」。うま味は、5つの味(甘味・酸味・塩味・苦味・うま味)の1つです。
このうま味、お料理を美味しくしてくれるのは、みなさんご存じですよね。
子どもたちが、出汁をしっかりとったり、おひたしにかつおぶしをかけたら、子どもの食べっぷりが急に良くなった!という経験がある人も多いのではないでしょうか。
今回は、この「うま味」と肥満の関係について調べた研究をご紹介したいと思います。
この研究では、うま味に対する感度が低い人(=うま味を感じにくい人)には肥満者が多く、また、将来的に摂取カロリーが増加する人が多いということが報告されました。
研究の対象は、日本人成人47人です。
初回に味覚検査、体重計測、血液検査などをし、その9~12カ月後にも体重計測や血液検査を行いました。
そのほか、「甘いもの/塩辛いものは好きか?」などの質問により味の好みを評価し、ふだんの食事内容も調べました。
そして、味覚検査の結果により、うま味を感知できなかった「低感度群」(22人)と感知できた「対照群」(25人)の2群に分け、比較検討をしています。
すると、肥満者の割合、高尿酸血症(主に痛風の原因となる)の割合、甘いものが好きな人の割合は、うま味低感度群で高かったそうです。
さらに、初回と9~12か月後の食事内容をもとに、摂取エネルギー量の変化を比較検討したところ・・・
初回に比べて2回目の摂取エネルギー量が増えていた人の割合は、うま味低感度群では68.2%、対照群では36.0%であり、有意差がありました。
つまり、この結果からは、うま味を感じにくい人は、肥満や甘いものが好きな人が多く、摂取エネルギー量が増えやすいというこが言えました。
対象者数が少ないため、あくまで参考程度ではありますが、うま味を感じにくい人は肥満になりやすい傾向にある可能性を指摘したということで、とてもおもしろい研究だと思います。
この研究の著者は、「うま味に対する感度が低い人は、うま味よりも甘味を生かした食品で食の満足感を得ていて、ショ糖(砂糖)を多く含む高カロリーの食品や菓子をたくさん摂取することで肥満になるのではないか」と考察しています。
例えば、出汁をしっかりとると、薄味(=砂糖やしょうゆなどの調味料が少ない)でも満足できることは、私たちも経験したことがありますよね。
そう考えると、
うま味が感じられない
→濃い味でないと満足できない
→砂糖やおしょうゆなどの調味料をたくさん使う
→摂取カロリーも増える
→肥満になりやすい
という可能性は十分ありそうです。
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味を感じる能力=味覚は、幼児期から育てるものです。
正しい味覚を手に入れるために、子どもの時に、出来るだけ薄味で素材を生かした味付けで、色々な味を経験することが大切だと言われています。
普段の食事では薄味をこころがけ、時間がある休みの日には、子どもと一緒に出汁をとったりするのも良いと思います。
健康面でのメリットはもちろん、「うま味」が感じられると、食べ物をより美味しく食べられ、人生がずっと楽しくなりそうですよね^^
参考文献:Umami taste disorder is a novel predictor of obesity.
Hypertension research : official journal of the Japanese Society of Hypertension. 2021 05;44(5);595-597. doi: 10.1038/s41440-020-00588-9.
Einosuke Mizuta, Yoshiharu Kinugasa, Masahiko Kato, Toshihiro Hamada, Kazuhiro Yamamoto, Ichiro Hisatome
れいここうの
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