「日本人は欧米人より腎臓の機能が弱く、慢性腎臓病になりやすい」
という研究結果を、東京慈恵医大の神崎剛助教らと豪州の共同チームが、米医学誌「JCI insight」(電子版)の2017年10月5日号に発表しました。
腎臓は「ネフロン」という構造が集まってできています。
この「ネフロン」が尿を作ったりする腎臓の働きを担っているわけですが、日本人では、このネフロンの数が欧米人と比べて少ないことがわかったのです。
欧米人では、ネフロンは1つの腎臓に平均90万個。
それに比べ、日本人では、健康な人は平均64万個、高血圧患者(※)は39万個、慢性腎臓病患者は27万個。
(※高血圧だと腎臓への負担が大きくなり、腎機能が悪くなります。)
健康な人でも大幅に少ないのです。
なので、研究チームも腎臓に悪いとされる食塩の過剰摂取、肥満などに注意するように呼びかけています。
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さらに、心配なのは、日本では低出生体重児が増えていること。
低出生体重児は単に体重が少ないだけでなく、腎臓のネフロンの数が少なく生まれてきます。
今産まれている低出生体重児での子どもたちが大人になる将来には、今よりも腎臓病の人が増えている可能性も心配されています。
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慢性腎臓病がひどくなれば、人工透析をしなければ生きていけなくなります。
一般的に行われる方法で人工透析を行う場合、週に3回通院し1回4時間から5時間の拘束を受けることになります。
時間や行動が制限されるだけでなく、精神的な負担も相当なものでしょう。
腎臓はとても大切なものだということが、このことからも想像してもらえると思います。
腎臓を守るために、子どものころから出来ること
腎臓を守るためには次の5つを実行すべきと言われています。
①禁煙
②節酒(1日1合未満)
③肥満にならない。
④運動
⑤健康的な食事
①と②は、子どもはもちろんしてはいけないことなので、子どものうちから気をつけたいことは③~⑤が中心になりますね。
運動と健康的な食事をしていれば、自然に肥満は防げます。
子どものうちで大切で、かつ、子どものうちにしか出来ないことは、正しい味覚を身に付けること。
そうすれば、塩分の濃いものを好むこともないですし、好き嫌いもなくなります。
味覚を正しく育てるためには、うす味で素材の味を大切にした調理を心がけ、様々な味を体験することです。
味覚が鈍感になれば、味を感じにくくなり、塩分の摂り過ぎ、糖分の摂り過ぎから肥満につながります。
歳をとればとるほど、味覚は鈍感になっていくので、子どものころから鈍感だったらどうなるのか・・・ちょっとこわいですね。
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あと、規則正しい食のリズムも、当たり前のこととして身につけておきたいです。
不必要な夜食(夜ご飯後の間食)はとらない。
早寝早起きをして朝食は必ず食べる。
しっかり食べてよく寝るためには、昼間に運動をしてからだを動かることも重要です。
このように、食事をきちんと摂ろうとすれば、自然に規則正しい生活リズムができあがります。
食生活をととのえることは、生活全体をととのえることになるのです。
塩分を摂り過ぎない・規則正しい生活で肥満を防ぐことは、腎臓だけでなく、他の疾病予防にもつながります。
日本人が生まれつき腎臓が弱い傾向にあるということはデメリットではありますが、良い生活習慣が身につくきっかけだと思い、子どもたちの将来のためにも、今からできることを始てくださいね。
れいここうの
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