虫歯や歯周病が良くないことは、みなさんよくご存知だと思います。
お子様にも毎日歯磨きをしている方がほとんどですよね。
実は、歯と口の健康は、その部分だけの問題ではありません。
メタボリック症候群や糖尿病などの生活習慣病と深く関係していて、全身の健康に影響を及ぼします。
「よく噛むこと」と、「歯周病予防」が全身の健康につながるのです。
では、それはなぜでしょうか?
まず、よく噛まないと、早食いになります。
早食いが肥満につながることは、多くの研究からわかっています。
早食いをすると、脳の満腹中枢が満腹だと感じる前に食べすぎてしまう傾向にあります。
また、よく噛むと、脳内でヒスタミンという物質が増えます。
このヒスタミンは満腹を感じ、脂肪の分解する働きがあります。
噛まないと、このヒスタミンが少なくなってしまうのです。
この2つが、早食いで肥満になりやすい主な原因です。
そして、肥満が生活習慣病につながっていきます。
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続いて、歯周病についてです。
40歳以上で歯がなくなる原因として最も多いのが歯周病です。
歯周病で歯を失い、噛みにくくなると、野菜や果物、肉類などが減り、柔らかくて食べやすいご飯や麺、パンなど穀物の摂取が増えます(※1)
つまり、「ビタミン・ミネラル・たんぱく質・食物繊維」などの摂取が減って、炭水化物が増えバランスの悪い食生活になります。
そういう理由で、歯の数が少ないと、メタボリック・シンドロームになる率が高まります。(※2)
さらに歯周病が重症化すると、サイトカインという物質が作られ全身に運ばれ、インスリン(血糖値を下げるホルモン)の働きを落とすために、糖尿病が悪化することもわかってきています。
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以上のことから、しっかりよく噛み、歯周病を予防することは、全身の健康にとって、とても大切なのです。
歯周病を予防するためには、
①毎日の、歯ブラシ・フロスや歯間ブラシによるセルフケア
(※歯ブラシだけでは60%しか歯垢は取れない)
②歯科での定期検診とクリーニングを受ける
以上の2つが大切です。
大人になって、生活習慣病になってしまってから、口の中のことを気にしだすのでは遅い場合もあります。
子どもの頃から、毎日のセルフケアや定期的な検診、また、よく噛んで(1口30回以上が目安)ゆっくり食べることを、習慣にしておきたいですね。
※1:咀嚼と食品・栄養摂取の関係:国民健康・栄養調査の個票データによる解析 日本咀嚼学会雑誌 18(2) 2008
※2:メタボリックシンドロームと歯の保有状況との関連 口腔衛生会誌59(4) 2009
れいここうの
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