ひとの骨量の変化を見ていくと、
0-20歳までは、骨の成長期。骨量が増える時期です。
そして、20歳ごろに骨量はピークに達し、40歳ごろまではその骨量が維持されます。
その後、女性では閉経後に急激に骨量が減少します。
男性では、高齢期になると徐々に骨量が減少していきます。
そして、男女とも骨量が減るにつれて、骨粗鬆症、それによる骨折のリスクが高まっていくことになります。
なので、骨粗鬆症は、お年寄りの病気というイメージですが、その予防は子どもの頃から始め、一生続けていかなければいけません。
20歳ごろまでは、より高い骨量を得て丈夫な骨を作るように。
20-40歳ごろまでは、最大骨量が維持出来るように。
40歳以降では、骨量減少を少しでも抑えるように。
60歳以降では、転倒・骨折防止を。
それぞれの時期で、食生活を改善していくことで骨粗鬆症を予防できます。
では、骨粗鬆症予防の観点から、子どもの時期の食生活で気を付けることは何なのかを、お話していきます。
ひとの一生のうちで骨量は20歳前後でピークを迎えますが、骨量が最も増加する時期は、男子では13~16歳、女子では11~14歳と言われています。
ちょうど中学生くらいですね。
この時期に、最大骨量の約1/4が蓄積するので、非常に重要だということが分かります。
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そもそも骨は何で出来ているのでしょうか?
骨は、たんぱく質の線維で形が作られ、そこにリン酸カルシウムが沈着することによってできています。
なので、カルシウムが不足すると、当然骨がもろくなっていくことになります。
特に骨の成長期には、大量のカルシウムが必要となるので、カルシウム摂取推奨量は、男女とも、12-14歳が最大になっているのです。
※リン酸カルシウムの「リン」は、ほとんど全ての食品に含まれているので、普通の人で不足することはまずありません。
栄養不足より、どちらかといえば栄養過多がなりがちな日本人ですが、カルシウムは全年齢で不足しています。
なので、毎日の食生活で意識して摂っていく必要があります。
カルシウムというと牛乳が有名ですが、その他、ほうれん草や小松菜などの緑黄色野菜や、小魚、干し海老、ひじきなどの海藻にも含まれています。
牛乳で下痢をしてしまう乳糖不耐症の人は、チーズやヨーグルトなど、他の乳製品を利用すると良いです。
では、カルシウムだけ摂っていたら良いのかというと、それは違います。
食べたカルシウムを腸から吸収するためには、ビタミンDが必要です。
ビタミンDは、腸管からのカルシウムの吸収を助けるほか、骨に直接働いて骨の形成を促進する作用もあります。
カルシウムを摂っていても、ビタミンDが足りないと、骨がもろくなってしまいます。
ビタミンDはきくらげや干ししいたけなどの乾燥きのこ類、卵黄や魚類に多く含まれています。
また、食事から摂るほかに、日光を浴びることによって皮膚で産生もされるのが特徴です。
ビタミンDが欠乏して骨がもろくなる病気を「くる病」といいますが、くる病は、戦後の栄養不足の時に多い病気でした。
栄養状態の改善とともにどんどん減少していたのですが、最近、再び増加していることが問題となっています。
その原因のひとつとして、紫外線の害に過敏になりすぎるあまり、極端に日光浴を避けてしまうことがあります。
でも食事からの摂取量はさほど増えていないので、不足してしまうことになります。
では、どれくらいの日光浴が必要かということですが、「1日に15分ほど、両手と顔を日光に当てると、食品から平均的に摂取されるビタミンDと合わせて充分なビタミンDが生成される」と言われています。
普通に外で遊ぶ子どもなら、すぐにクリアできる時間ですね。
※ただ、季節や地域により差もあるので、冬などはもう少し長い時間の日光浴が必要だと考えられます。
なので、日光浴に関しては、特別にその時間をもうけるというよりも、過剰に紫外線を避けずに日常生活を営めば良いと思います。
紫外線が危ないからと、赤ちゃんにも全く日光浴をさせないのはよくありません。
また、学童期や思春期では、ゲームやパソコンで外で遊ぶ時間が少なく、さらにそこへ、ダイエットをしていたり、ファーストフード・インスタント食品に偏った食生活をしていると、ビタミンD(カルシウムも)が不足しやすくなるので、注意が必要です。
あとは、母乳にはビタミンDが少ないので、完全母乳で極端に離乳食が遅れたり、進まなかったりすると、ビタミンD不足になる可能性があります。
(完全母乳であっても、離乳食の開始や進行が極端に遅くなければ、くる病を発症することはまずないので、過剰に心配する必要はありません。)
ビタミンD不足による子どものくる病は、普通の生活をしていれば心配ない病気ですが、極端な偏食や屋外に出ない生活では注意する必要があることを知っておきましょう。
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カルシウム・ビタミンDのほかには、骨を構成しているたんぱく質も充分な摂取が必要です。
また、ビタミンKも、骨の健康には不可欠なビタミンですが、腸内細菌によって体の中でも作られるので、新生児期を除いて、健康な人ではまず不足の心配はありません。
※新生児期には、ビタミンK2シロップを、全員予防的に飲んでいます。
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骨量を増加させるために必要な重要な栄養素についてお話してきましたが、もちろんその栄養素だけでなく、1日3度の食事をバランスよくしっかり食べることが必要不可欠です。
まずは、1日3度の食事をバランス良くしっかりと食べる。
その上でカルシウムを含む食品を積極的に摂るようにし、外遊びやスポーツなどでしっかり活動することで、最大骨量を増やすことができます。
骨量が増える思春期は、やせ願望によるダイエットが増えてくる時期でもあります。
また、幼児期や小学校低学年までと違い、自分自身で食が選択できるようになり、親が食事を管理するのも限界がでてくる場合もあります。
そのため、朝食欠食、ファーストフードや外食などに偏りがちになる子が増えてくるのも、この時期ですね。
食事量が極端に減れば、もしバランスは取れていたとしても、カルシウムやビタミンD・たんぱく質の絶対量が不足します。
極端な偏食は、カロリーは足りていて見た目はふっくらして元気そうでも、骨は弱いまま・・ということにもなりかねません。
食生活の改善は年齢が進むにつれて難しくなってきます。
幼児期・学童初期から、3食しっかり食べることの大切さ、カルシウムを摂ることの大切さを子どもたちにしっかり伝え、子どもたちが自分自身で気をつけることができるようにしてあげたいですね。
親である私たちが伝えていくことで、子どもたちの生涯の健康を守れるのです^^

れいここうの

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