「◯◯の節句」と聞いて、すぐに思い出す節句は何ですか? 「端午の節句」、あとは「桃の節句」あたりではないでしょうか?
5月5日は「端午の節句」、「菖蒲(しょうぶ)の節句」とも呼ばれています。
「桃の節句」はひなまつり、3月3日です。
では、9月9日は? タイトルにもあるように「重陽(ちょうよう)の節句」です。
端午の節句は子ども、男の子の成長を祈る日、ひなまつりは女の子の成長を祈る日、となっているように、重陽の節句にもあるのです。
重陽の節句は、長寿を祈る日。病気をせず、健康で長生きできますように、と願う日です。
「菖蒲の節句」「桃の節句」とあるように重陽の節句も季節の植物があり、「菊の節句」とも言われています。
重陽の節句には菊を鑑賞したり、「菊酒」と呼ばれる、菊の花を浸したり、浮かべた酒を飲むなどして過ごす風習が昔からあります。その他には、菊を湯船に浮かべる「菊湯」、菊の花に綿をのせて覆い、一晩菊の香りや露を染み込ませた綿で肌を拭く「菊のきせ綿」など、菊を取り入れた過ごし方があります。菊は昔から長寿の象徴ともされる花。旧暦の9月9日頃は菊の花が盛んに咲く頃だったので菊を用いてお祝いしていました。
重陽の節句の行事食は、菊の節句だけに食用菊を使った料理。ただし、食用菊はその香りとほんのりとした苦みがあり、大人はそこがおいしく感じるところですが、苦手な子もいるかもしれません。しかしながら、食用菊は黄色や紫、白などがあり、料理に入れるときれいで映えるので、彩りに少し使うのもいいでしょう。食用菊の調理の仕方は、花芯を残して花びらを手で摘み取り、鍋に水と少量の酢を入れ、沸騰したらさっと茹で、冷水で冷まして水気を絞っておけば、使いやすくなります。おひたしや和え物、ちらし寿司などに混ぜるとぐっと華やかになります。
行事食としては他に、昔から栗ご飯を食べる風習もあり、重陽の節句は栗の節句とも言われています。栗の他には、なす。重陽の節句は「おくんち」と呼ばれ、「おくんちになすを食べると中風にならない」とも。
菊酒は飲めなくても、食用菊、栗ご飯、なすなら、お子さんがいる家庭でも食べられそうですね。
節句の中で、一番知られていない「重陽の節句」。取り入れてみてはいかがでしょうか?

増田陽子

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